朝の10分間読書開始して10年
朝の10分間読書開始して10年
-静寂の中、聞こえるのはページをめくる音と野鳥の囀り-
潤いのある心豊かな心を育てようと「朝の10分間読書」を全学年一斉に開始して10年が経過しました。本校が朝読を始めるきっかけとなったのは、平成9年8月、夏季研修会において、「朝の読書」を実践している福島県石川高校の目の覚めるような実践報告を聞いたことに始まりました。
参加した先生方から、本校でも「朝の読書」を実践したいという強い思いが寄せられたのでありました。
ところで、「朝の読書」を全校一斉に実践し成功させるためには、先ず全教職員の理解を得ることが必要です。そこで、朝の読書の目的、実践効果、実践するための条件について学年会や職員会議で話し合いが重ねられました。また、全国初の実践校である千葉県東葉高校大塚笑子先生の講演「実践報告と効果について」の実施や実践校盛岡女子高校を視察。更に「朝の読書」全国横断岩手交流会への参加等、教務部を中心に慎重に検討を加え、長い歳月を要して全教職員の共通理解を得て実施に至ったのです。
平成14年度からは読書を通して、地域コミュニティーづくりを目指して「読書クイズ王決定戦」を小・中・高学生対象に実施し、今年で早や7回目を迎え今後益々楽しみな一大イベントとなりました。
更には、本の貸し出しの増加と興味関心を高める目的で本をワゴン車に載せ廊下等で、本の貸し出しをする「校内移動図書館」や文学部のメンバーが、学校近郊の児童センターや保育所、幼稚園、小学校を訪問し、園児や児童を対象に「絵本読み聞かせ」のボランティア活動を実践しています。こうした積極的な活動が認められ平成18年度には、読書推進優秀校として文部科学大臣賞を受賞し、全国で実践例を発表する栄誉に輝きました。
全国的に活字離れが進み、最近の子供は本を読まなくなりました。高校生にあってはその60%から70%もが、1ヶ月に1冊も読んでいない。昨今の若者は映像文化に毒されているように思えてなりません。確かにテレビ、ビデオ、携帯、パソコン等はあまり頭を使う必要もなく、目や耳から感覚的に入ってきます。これに比し活字の場合は、思考力や想像力を働かせなければならず、その分遠ざけられることになると思われます。
物の豊かさの中、自己を見失いつつある今の高校生にあって、10年前に始めた「朝の10分間読書」は、長い人生の中で貴重な心の財産になる事だろうとも思われます。また、静かな教室の中でページだけをめくる音が響く。そんな沈黙の空間の中で「読みながら対話しているもう一人の自分を発見する」など、生徒は読書を通していくつもの人生を同時に体験しています。そんな自分以外の多くの人々の人生を感じる「朝の読書」は、生徒にとって何事にも変えがたい心の豊かな人生を送るための貴重な体験となっています。

